4/12第一回 エコヘルス・OpenTS共催セミナー

地球研の位置する岩倉は、「健康」を、医療の視点ではなく、近現代における暮らしや生態環境、生業、食生活などとのかかわりから探求する「エコヘルス」という概念があります。地球研が位置している洛北は、自然・文化を色濃く残しており日本の精神医療において欠かすことのできない場所で、エコヘルスの視点から重要です。地域社会の「エコヘルス」は学術的に探究するだけではなく、そこに暮らす人々とともに考え、創っていくトランスディシプリナリーの手法を取り入れることが必要です。この度、人間文化研究機構エコヘルス・プロジェクトと地球研オープンチームサイエンス(OpenTS)プロジェクトは、健康な地域像を社会との共創を通じて考え、実現していくために、洛北とその周辺の自然環境・健康・歴史を学ぶ研究会を、一般向けイベントとして企画しました。

日時:2019年4月12日(金)15時30分~17時30分
場所:総合地球環境学研究所 セミナー室1・2
演者:中村治教授 (大阪府立大学大学院 人間社会システム科学研究科)
演題:洛北岩倉の精神医療史
内容:かつて精神病患者は、まわりの人に見守られながら何とか暮らし、調子が悪くなると監置されるなどしていました。そして患者を不憫に思う家族は、精神病によく効くという評判のある寺、神社、滝などに患者と出かけて行って、治療を試みました。今回お話する岩倉もそのような場所の一つでした。ところが岩倉では、18世紀末から大雲寺前の茶屋で患者を家族の付き添いなしに預かることが始まりました。以来、岩倉はそのような場所として有名になっていったのです。明治時代になり都が東京へ移ると、「貴顕紳士」や「華族」は、身内の患者を岩倉に預けて東京へ行き、このことへの対処として、岩倉癲狂院(公立の精神病院)を設立させられましたが、宿屋(茶屋)における患者預かりは続いていきました。大正時代末になると、宿屋は保養所と名を変え、岩倉は患者を預かる場所として世界的に有名になっていったのです。今回は岩倉における精神医療の歴史をたどっていきます。みなさまのご参加をお待ちしております。なお、地球研以外の方でご参加を希望される際は、お席の準備の都合上、ご一報いただけますと幸いです。(中原聖乃 075-707-2386, nakahara☆chikyu.ac.jp ☆は@に変えてください。)

企画・共同主催
人間文化研究機構広領域連携型基幹研究プロジェクト「アジアにおける『エコヘルス』研究の新展開」、および、総合地球環境学研究所コアプロジェクト「環境社会課題のオープンチームサイエンスにおける情報非対称性の軽減」
担当者:中原聖乃(OpenTS)・蔣宏偉(エコヘルス)