私たちの目標
地球環境問題は、人間社会と自然環境の相互作用が機能不全に陥り、社会が解決するべき課題として現れたものです。問題の構造は複雑であり、異なる分野の研究者や行政・市民など社会の多様な主体とチームを組んで問題の解決に資する共同研究(超学際研究)を実践するのが理想です。しかし、知識や価値観、社会経済的地位などのちがいが理解のずれを生んだり、歴史的経緯が継承されなかったりすると、研究実践がうまく進まないことがあります。そこで、ずれがあることを理解しつつ乗り越えて、共同研究を進めるための理論と方法を明らかにする必要があります。私たちは、環境問題の解決を志す社会の多様な主体が、知識や情報、価値観、社会経済的地位の「へだたり」を乗り越えて、オープンチームサイエンス、すなわちひらかれた協働研究を進めるための理論と方法、つまり方法論を学術的に言語化することを、プロジェクトの目標にあげました。
私たちの将来的なビジョン
私たちが実現をめざす「ひらかれた協働研究」すなわちオープンチームサイエンスは、データだけでなく情報・知識・知恵も含めた学術知の総体を開放し、さらに学術界の知識生産システムそのものを開放するという意味でのオープンサイエンスと、学術界と社会の〈へだたり〉を超えるための方法論としての超学際研究のシナジー(相乗効果)によってかたちづくられます研究を通じて、オープンチームサイエンスという、社会にひらかれた課題解決のための新しい学術研究のあり方を提案します。
アプローチ方法
研究体制
このプロジェクトは京都市にある大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所(地球研)のコアプロジェクトとして、2018年4月から2021年3月の間に実施されました。
超学際研究
地球研では多様な要因が複雑に絡み合う環境問題を、さまざまな分野の研究者と、行政や住民をはじめとする社会の多様な人々が連携して解決策を共創する、超学際研究と実践的アプローチに取り組んでいます。これは分野や立場の異なる人々が参加するチーム型の共同研究(チームサイエンス)でもあります。
仮説検証ころがしによる検証
オープンチームサイエンス・メソッドは仮説検証ころがしによって繰り返し改良されていきます。これはアブダクションといって事例の評価を通じて最も確からしい仮説を見つける論法です。効果、プロセス、認知に対してそれぞれのチェックポイントを照らし合わせながら評価します。自己点検のために、参与観察、半構造化インタビュー、アンケートなどの従来の社会調査法を用います。